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東通原発敷地内活断層評価に関するコメント(その10)をアップ

 東通原発敷地内活断層を評価する有識者会合は,昨年12月末の第12回評価会合を最後に終了し,今年3月25日開催の第65回原子力規制委員会に最終的な評価報告書を提出した.主要断層2本を活断層と認定したが,肝心の原子力発電所建屋直下にある2本の小断層に関しては,活断層の可能性があるという意見と“岩盤の劣化膨張”による現象の可能性があるというような両論併記であった.2015/6/11付の河北新報記事によれば,これを受け,東北電力は再稼働の時期を1年ほど延期する方針を固めたらしい.
 評価会合があれよあれよという間に終了してしまったので,肝心の原子力発電所建屋直下の2本の断層に関するコメントを有識者会合に提出する機会を逸してしまった.これを正しく評価するために必要なことの一つは板曲げという基礎力学のひとつを理解しておくことで,問題となっていた「下方に延びない第四系中の裂罅・小正断層」の成因を解くことができる.東北電力はこれら2つの断層とそれに付随する変形を再現するために有限要素法数値シミュレーションを行ったが,その結果を正しく理解することが,もうひとつの必要なことである.
 私の分析では,2つの論点とも東北電力の主張とは真逆になりました.この検討結果をコメント(その10)として私のホームページhttp://aobatotoro.info/にアップしたので,興味のある方は訪れてみて下さい.
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放射性指定廃棄物最終処分場の候補地選定を科学的に

 4年前,東京電力福島第一原発から放出された放射性物質が風に乗って広く拡散した.宮城県内の汚染物質は,稲わらなどの農林業系副産物4,900トン,浄水場で発生する土1,000トンなど,大半が1 kg当たり8,000~30,000ベクレルの「放射性指定廃棄物」である.平成23年8月に制定された放射性物質汚染対処特措法に基づき,県市町の協力を得て,環境省は県内に1カ所の最終処分場(約2.5ヘクタール)を新設し,焼却減容した後にしかるべき防水対策を施した地表直下の施設に密閉貯蔵する方針である.
環境省はある手順に従って宮城県内に3カ所の候補地(北から栗原市荒砥沢の深山嶽,加美町宮崎の田代岳(正しくは箕ノ輪山),大和町升沢の下原)を抽出したが, 2次汚染とそれに伴う健康被害,風評被害などを危惧する候補地自治体が受け入れに難色を示し,絞り込みは進んでいない.6月14日付け河北新報記事によれば,環境省は3候補地の詳細現地調査を近い中に行う意向であるという.
 ところで,3.11巨大地震・津波と災害・事故の教訓は,極めて稀だが起こり得る最悪の事態を想定し,前もって対策を取っておくことであった.最終処分場に関する最悪事態とは,指定廃棄物を集積→燃焼→貯蔵しておく間に放射性物質が大気中に飛散したり,河川水や地下水に漏れ出てしまうことである.このような事が起こっても最小の被害に留めるための立地条件は,少なくとも「風上ではなく風下に」,「上流ではなく下流に」を充たさなければならない.より条件を絞れば,洪水・津波による冠水から免れる標高の海岸に近接した丘陵地がベストである.ところが,環境省による候補地選定の過程には,このような初歩的なことさえ考慮されていない.
 環境省の選定法とはどのようなものであったか.以下に概観しつつ吟味する.彼らは,まず候補地を国有地または県有地内に限定した.この一つの選定基準だけで,候補地は県西部の山岳地帯に限られ,「風下・下流」の原則に反することになってしまったのである.防災の面では誠に初歩的な誤りを犯すことになったわけだが,それは用地取得の容易さに誘惑されたためであると思われる.
 次いで地滑り,斜面崩壊,土石流など自然災害に関わる該当地域を除外した.ところが不思議な事に,栗原,加美,大和の3候補地全てが地滑りの巣のような地帯の中にあるにもかかわらず,除外されていないのである.おそらく,地滑りが候補地の間近かに有っても,地滑りの真上でなければ良いと判断したのだろう.これも科学的常識に反している.3つの地域の地滑りにはそれぞれある特定のはっきりとした素因がある.地滑りから免れている所であっても素因があるので,豪雨などの誘因が整えば,将来起きる可能性が高いのである.斜面崩壊(がけ崩れ)や土石流などに関してもほぼ同様である.
 その他の選定の基準として,観光地,自然環境保護地域などが用いられているが,国有地・県有地の枠を取り外し,「風下・下流」の原則と地滑りの素因の有無を候補地選定の基準に加えただけでも,絞り込み結果は現在の候補地とは全く異なるものになる.環境省による詳細調査の項目は,文献調査だけでも分かるようなものである.今の状況で先に進めば,環境省に対する不信が深まるばかりなので,まずはきちんとした科学的方法で候補地選定をやり直さなければならない.県議会の下に専門家を含めた検討会を組織することも一案である.
プロフィール

大槻憲四郎

Author:大槻憲四郎
私は数年前に大学を退職した地学の研究者ですが、その後も研究を続行している初老です。
研究が趣味みたいなもので、一種の偏執狂かなー
70年近く生きて来ましたが、常に中心からはずれた所を歩いて来たように思います。そのような変な人間の目から見ても、今の世の中はこれまでになかったほど変だと感じます。どう変なのか、どう理解し、考えをどう変えたらいいのか・・・・知恵を出し合って考えましょう。

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