FC2ブログ

活断層評価システム 監視怠らず変質回避を

東北大名誉教授 大槻憲四郎 (河北新報 2013年1月18日付 時論持論)

原発問題に絡んで、活断層が議論されている。活断層か否かを判断する方法の一つに、それが第四紀(約260万年前から現在までの時代)の地層をずらしているかどうかを調べるやり方がある。
 東北電力自身による東通原発(青森県東通村)の敷地内調査によれば、第四紀より古い時代に形成された主要な正断層の破砕帯に沿っては、観察地点の40%にも達するポイントで第四紀層に何らかの変形が認められ、その一部は小規模な逆断層やたわみなどであるという。古い断層破砕帯から離れた所にも明瞭な逆断層性の小断層が発見され、11万年前以降に活動した証拠も示されている。
 昨年12月、「原子力規制委員会有識者会合」の専門家たち全員が、活断層の可能性が高いと判断したのは当然なのである。
   ◇  ◆  ◇
 東北電力は、上記の変形が活断層ではなく、岩石に含まれる粘土鉱物の吸水膨張によると主張してきた。しかし、これは説得力に欠ける。
 第1に、岩石の膨張を示す直接的証拠が示されていない。第2に、風化度の異なる岩石の密度差を全て膨張量とみなしたこと。第3に、粘土鉱物の膨張による力で断層が形成されたことを証明するには、断層付近の粘土鉱物含有率分布図のような定量的データが必要なのだが、それが不十分である。
 以上のことも含め、東北電力の主張は、随所に科学的根拠の薄弱さが目近つのである。
 日本原電敦賀原発に続いて東通原発に関しても、原発設置を認可した時の活断層評価が原子力規委員会有識者会合によって覆される可能性が高くなった。
 新しい評価システムにはこれまでにない特徴がある。
 まず、有識者は開運学会から推薦され、過去にこの種の評価に手を染めたことのない人たちの中から選ばれた。そして、原発に対する賛否から離れ、科学の問題に徹して厳正に評価が行われている。さらに、事業者側の主要な調査データを原子力規制委員会のウェブサイトに公開し、会議の様子も動画投稿サイトYouTubeで見ることができるようにするなど、かつてない透明性が確保されている。
 筆者も公開されている全資料を検討したが、いずれの原発に関しても有識者会合の見解を支持する結論に達した。立地自治体では地域経済への打撃を心配する声もあるが、活断層評価はあくまでも科学の領域であり、両者を一緒くたに議論すれば、失敗を繰り返すことになる。
   ◇  ◆  ◇
 とはいえ、なぜ、こうも原発設置許可時とは異なる評価結果が出るのか。敦賀原発に関して言えば、敷地付近の地形図を見ただけで活断層の存在を疑うべき場所だった。その活断層は、原発建屋の目前250mを通過していて、今ではマグニチュード(M)7.4程度の地震を起こし得る長大な活断層帯の一部であることが分かってきた。そのような経過を考えれば、原発設置許可時の活断層評価に 「原子カムラ]の害悪が及んでいたのかと疑われる。電力会社にも地質調査会社にも専門家はいるが、彼らが原発建設の障害になるような結論を出せる立場にないことは自明であろう。
 新しい評価システムが変質してはならない。そのために、われわれは怠りなく監視し続ける必要がある。(投稿)
スポンサーサイト



コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

大槻憲四郎

Author:大槻憲四郎
私は数年前に大学を退職した地学の研究者ですが、その後も研究を続行している初老です。
研究が趣味みたいなもので、一種の偏執狂かなー
70年近く生きて来ましたが、常に中心からはずれた所を歩いて来たように思います。そのような変な人間の目から見ても、今の世の中はこれまでになかったほど変だと感じます。どう変なのか、どう理解し、考えをどう変えたらいいのか・・・・知恵を出し合って考えましょう。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR